デザイナー視点から見た生成AIとの付き合い方 part1
近年、生成AIが急速に普及し、SNSなどでさまざまな画像や映像コンテンツを見る機会が増えた事で、個人でも高品質な創作物を簡単に作成できるようになり、クリエイティブワークへの参加がしやすくなりました。
しかし期待が膨らむ一方で「クリエイターの仕事がなくなるのでは?」や「需要と供給のバランスが崩れて価格破壊が起きるのでは?」といった不安も広がっています。
期待感と不安感が渦巻くコンテンツ黎明期ならではの盛り上がりに対して、クリエイティブ業界の一端を担うデザイナーは、どのようにAIと向き合うべきなのでしょうか。
今回はデザイナー歴10年の私、藤田が日々の制作現場でAIとどのように付き合っていくかを考えてみました。
AIは優秀な執事のような立ち回りが得意
まずAIというものは、特定の指示に従って優れた結果を出すのが得意です。(現時点ではですが)
特定の指示とは例えば、
スクリプト系であれば「この夏発売する若年層向けの新食感ドリンクのキャッチコピー」、
画像生成系であれば「南国風のビーチで新食感ドリンクを飲む女性の画像」
などを指示すると、それに近いものを生成してくれます。
さらに細かな設定や指示を追加することでより精査されたイメージに近づいていきます。
そうそうこんな感じ!となるかどうかは試行回数で決まる
このように、AIはまるで執事のように、ユーザーの指示に従って働きます。
AIの生成するアイデアや画像の質は、ネット上から収集された学習リソースによってアップデートされているので、今後さらに向上していくでしょう。
デザイナーに求められるのはプロデュース能力
しかし、デザイナーに求められる仕事は、AIだけで代替することは難しいと言えるでしょう。
その理由はおそらく「そもそもこの企画をどのような切り口でビジュアルデザインするのか」から考えることが多いからではないでしょうか。
- 顧客から課題・ミッションをヒアリング
- ヒアリング内容から最適なビジュアル表現・仕掛けを創出
- 構想を元にラフを経てデザイン制作でアウトプット
- 顧客とのコミュニケーションで軌道修正・精査を行う
要は「顧客とコミュニケーション」重ねて完成させるプロセスが多くを占めているということです。
この中で、AIが担えるのは部分的なアイデアの生成や素材の作成です。
逆を言えば、決められたオーダーに対して機械的にデザインしていくようなオペレーター仕事はAIに取って代わられる可能性が高いと言えます。
現時点で全てをAI化できる仕事は部分的なところ
レストランにおいての仕込み・調理はAIにおまかせ
デザイナーは支配人的な立ち回りを
弊社に限らずデザイナーが行う仕事の量と幅広さは10年前より増えていますよね。
これはDTPやWEBなどマルチに行えるのが当たり前になってきているからではないでしょうか。
一方デザイナー1人でこなせる工数・案件の数にも限度があり、効率的に多くの案件を高品質に仕上げるために業務の効率化は必須であると言えます。
以上のことからデザイナーとしてのアイデンティティを維持しつつ、AIの力を借りることで効率的に制作を進めることがデザイナーとAIの共存方法なのではないかと考えます。
AIに細かなアイデアや素材を生成してもらい、デザイナーがそれを活かして制作する。
そのためには、具体的な指示を出せるよう、顧客とのコミュニケーションからコンセプト設計や企画を見つけ出す能力が求められます。
いつの時代も新たな技術の登場に対して
適応する能力が鍵
技術の進歩により、AIはさらに進化し、前述の方法すらもAIに取って代わられるような変化も想定されるでしょう。
重要なのはその時々で取って代わられないデザイナーにしかできないことを見定め、今まで作業的に使っていたリソースをAIに代替していくような立ち回りが理想的な付き合い方なのでは無いかと考えます。
このことからも、今後発展して行くであろうAIというコンテンツにおいて、その時々に合わせて新しい技術として取り入れ、デザイナーとして適応する能力が大切です。
では現状どのようなAIがあるのか
次回は、私が実際に使っている「Photoshop生成AI」と「Adobe Firefly」をはじめとした画像生成系のAI活用法を具体例を交えてご紹介します。どうぞお楽しみに。
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