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InDesignスクリプト

「この作業、毎回大変…」から始まった、デザイナーの業務改善

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DESIGNTIPS

アートディレクター 藤堂 智子

デザインの仕事というと、「見た目をきれいに整える仕事」というイメージを持たれることが多いかもしれません。
もちろん、それはデザイナーにとって大切な役割です。 でも実際の仕事では、それだけではありません。
情報を整理し、正しく伝え、次の人が使いやすい形で届ける。
そんな「見えない仕事」も、私たちデザイナーにはたくさんあります。
今回は、私自身が担当した総合カタログ制作を通して感じた、「デザインのその先」のお話です。


「最終のInDesignデータを、Excelでもらえますか?」

ある総合カタログの制作が終わったあと、クライアントからこんなご相談をいただきました。
「最終のInDesignデータの内容を、自社データベースへ取り込みたいので、Excelでいただけますか?」
とても自然なご要望でした。
総合カタログの制作では、商品名や価格、JANコード、スペックなど、多くの情報が制作期間中に何度も更新されます。
最初に支給された原稿やExcelデータも、校正を重ねるうちに内容が変わっていきます。
つまり、完成した時点で一番正しい情報は、InDesignの最終データの中にあります。
その情報をExcelとして整理できれば、クライアントはそのまま自社データベースへ取り込めます。
でも、ここに一つ課題がありました。


便利なシステムがあっても、最後は人の手が必要だった

実は昨年までは、専用の書き出しシステムを利用していました。
ボタンひとつで、InDesignの情報をExcelへ書き出せる便利な仕組みです。
しかし、総合カタログは商品ごとに掲載内容が異なります。
ある商品はスペックが3項目、別の商品は7項目。価格の表示方法やレイアウトも商品ごとに異なり、読みやすさや見やすさを追求するほど、紙面の構成は多様になっていきます。
デザインとしては自然で最適なレイアウトでも、データを書き出すシステムから見ると、例外の連続でした。
そのため、書き出したデータはそのままでは使えず、人の目で確認し、修正し、不足している情報を補う作業が必要になります。
便利なシステムではありましたが、「最後は人が手を加えなければならない」という状況は変わりませんでした。
だからこそ、現場で実際に使う私たち自身が、制作フローに合った仕組みを考える価値があるのではないか。
そう考えたことが、今回の挑戦のスタートでした。


私はプログラマーではありません

そう考えたものの、私はプログラマーではありません。
普段の仕事は、紙面をデザインし、情報を整理し、読みやすく伝えることです。
JavaScriptやVBAを書く仕事をしているわけではありません。
それでも、一つだけ自信がありました。
それは、現場のことを一番知っているということです。
どこが商品の区切りなのか。
どの情報が重要なのか。
どんな並びなら確認しやすいのか。
こうしたことは、毎日InDesignと向き合っているデザイナーだからこそ分かります。
だったら、その知識を活かして仕組みを作れるのではないか。
そんな思いで、挑戦が始まりました。


思った以上に、うまくいきませんでした。。

もちろん、最初から順調だったわけではありません。
InDesignは何度もエラーで終了しました。
Mac版Excelでは、Windowsでは問題ない処理がエラーになることもありました。
「これで完成かな」と思えば、別のパターンで動かない。
そんな試行錯誤の繰り返しでした。
途中で気づいたのは、「全部を一つのツールで解決しよう」としていたことでした。
そこで考え方を変えました。


得意なことは、得意なツールに任せる!

最終的に行き着いた答えは、とてもシンプルでした。
InDesignは、情報を集める。
Excelは、情報を整理する。
そして、AIは、一緒に考える。

それぞれの得意分野を活かして役割を分けることで、処理は驚くほど安定しました。
一つのツールですべてを完結させるのではなく、それぞれの強みを組み合わせる。
これは今回の開発で得た大きな学びでした。


AIは「答えをくれる存在」ではなかった

今回、AIを活用したことで、一番印象に残ったことがあります。
最初は、「AIがコードを書いてくれる」と思っていました。
でも実際は違いました。
AIが一番役に立ったのは、私の頭の中を整理してくれたことです。

「本当に必要な機能は何?」

「何ができれば成功なの?」

「そこは自動化する必要がある?」

そんな問いかけを通して、自分自身の考えが少しずつ整理されていきました。
結果として完成したのは、スクリプトだけではありません。
仕事の進め方や、課題の考え方そのものも、大きく変わりました。


デザイナーだからこそ作れる仕組みがある!

今回の経験を通して感じたのは、デザイナーの仕事は「デザインを作ること」だけではないということです。

現場で困っていることを見つける。

原因を考える。

改善する仕組みを考える。

それも、デザイナーだからこそできる


おわりに

今回作ったスクリプトは、完成がゴールではありません。
現場で使いながら、少しずつ改善を続けています。
制作現場は変化します。
だから、仕組みも変化していく必要があります。
デザインも、AIも、目的は同じです。
「もっと良くできる」を積み重ねること。
今回の経験を通して、私は改めて感じました。
AI時代に必要なのは、プログラミングの知識だけではありません。
現場の課題に気づき、より良い方法を考え、周りを巻き込みながら形にしていく力。
その力こそが、これからのデザイナーにますます求められるのではないでしょうか。
そして私自身も、これからも現場の「ちょっと不便」を一つずつ改善しながら、デザインの可能性を広げていきたいと思います。


GOOD CREWでは、デザインを「つくること」だけでなく、その先の運用や制作現場の課題解決まで見据えたご提案を大切にしています。

デザインの価値を広げるために、現場の小さな「困った」を一つずつ改善しながら、これからもより良いクリエイティブを追求していきます